~ 吹上峠の旧トンネル ~

おまけ・畑トンネルのその後

写真:畑トンネル飯能側旧道入口

[畑トンネルの場所(Google Map)]

せっかくなので、同じ日に畑トンネルも見に行ってきました。

前回訪問時(1999年)は自動車で通行が可能でしたが、現在は写真の通りトンネルへ続く道路が恒久的なガードレールやフェンスで封鎖され、自動車は物理的にトンネルを通行できなくなりました。車が通らなくなったことで路上の堆積物や頭上に覆い被さる樹木などが増え、ますます自然に還る様相を呈してきています。

訪問当時(2001年)は車両通行止となっており徒歩での通行は可能でしたが、2018~2021年のどこかのタイミングで全面通行止へ変更され、現在は徒歩での通行も禁止されているそうです。

また飯能側は周辺に飯能大河原工業団地が開削され、道路の位置や地形が大きく変化しました。先ほどの写真の撮影地点(Google Map)は現在飯能市クリーンセンターの敷地の一部となり、旧道はトンネル付近まで消滅しています。

現在トンネルと残存旧道のほとんどが草木に覆われているそうなので、まだ覆われる前だった当時の写真をお楽しみいただければ幸いです。

写真:飯能側坑口へ続く道(1)
写真:飯能側坑口へ続く道(2)
写真:飯能側坑口へ続く道(3)

飯能側坑口へ続く旧道の舗装上に砂や落ち葉が積もり、そこに草が生えて道路上を覆い始めています。
世の廃道は舗装されていても舗装が見えないほどの草木に覆われていることが多いですが、その初期の状態を観察できて興味深いです。

写真:飯能側坑口手前にある畑トンネルの案内板

旧道化当時の飯能市(飯能市長?)が設置した、畑トンネルの歴史を説明する案内板です。
画像をクリック/タップすると案内板全体の画像をご覧いただけます。

飯能市は畑トンネルの近代産業遺産的な価値を認めていたようですが、不法投棄や土砂災害などの問題に対応できず車両通行止へ至ったようです。

写真:飯能側坑口(2001年撮影)

飯能側坑口(2001年撮影)。
ぱっと見は前回訪問時と変わりありませんが、周囲の植物が増えているように感じます。

写真:飯能側坑口(2)
写真:畑トンネル内部の煉瓦(2001年撮影)
写真:畑トンネル内より青梅側坑口を望む

洞内の両端に見える煉瓦は白いシミに覆われていますが、中央付近は赤い煉瓦の色を確認することができました。

よく見ると坑口付近の天井に筋状に削られたような傷がいくつも見えます。他の煉瓦トンネルでも度々見かけるもので、おそらくトラックの荷台などが天井を擦った痕跡だと思います。

写真:青梅側坑口遠景(2001年撮影)
写真:青梅側坑口近景(2001年撮影)
写真:青梅側坑口上部
写真:青梅側坑口に落下したままの樹木

青梅側坑口(2001年撮影)。
土砂崩れの痕跡で積もった土砂や落下した枯れ木は変わりありませんが、そこから明らかに草木が繁茂していて、坑口より奥の視界が狭まっています。

このまま月日が経てば、いつか旧道はトンネルが見通せないくらいの深い藪になりそうです。

写真:青梅側旧道(1)(2001年撮影)
写真:青梅側旧道(2)(2001年撮影)
写真:青梅側旧道(3)(2001年撮影)
写真:青梅側旧道(4)(2001年撮影)
写真:青梅側旧道(5)(2001年撮影)

青梅側の旧道は枯れ葉や枯れ枝、枯れ草などが積もり始めていました。堆積が厚い場所はその上に草が生えていて、道路が草木に覆われる様相を見せ始めています。
今後新たな轍が付くことも吹き飛ばされることもなく、自然へ回帰してゆくのでしょう。